「なぜ、うちの母親は自分の非を認めないのだろうか」「自分が悪い状況でも、母は絶対に謝らない」と悩んでいませんか。
親子関係において、親、特に母親が自分の非をなかなか認めないケースは少なくありません。自分はいつも正しいと主張し、何か問題が起きるとすぐに人のせいにする姿に、怒りや虚しさを感じることもあるでしょう。
このような態度の背景には、単なる性格の問題だけでなく、複雑な心理的な理由が隠されている場合があります。その結果、子どもであるあなたが不必要な罪悪感を抱えてしまうこともあります。
この記事では、自分の非を認めない母親の心理的な背景や具体的な言動パターンを整理し、冷静に対処するための方法や相談窓口について詳しく解説します。
この記事でわかること
- 母親が自分の間違いを認められない心理的背景
- 非を認めない母親に見られる具体的な言動の例
- 母親に対して冷静に対応するための具体的な会話術
- 親子関係の悩みやストレスを相談できる公的な窓口
自分の非を認めない母親の心理的な理由

- なぜ母は絶対自分の非を認めないのか
- 自分は正しいと信じている親の心理
- すぐ人のせいにする母親の言動パターン
- 母親の激しい怒りの裏にある本当の理由
- 自分が悪いという自覚がないケースとは
なぜ母は絶対自分の非を認めないのか
母親が自分の非を絶対認めない背景には、複数の心理的な要因が関係していると考えられます。
一つに、自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の傾向が指摘されることがあります。この場合、本人の内面には非常に脆弱な自己イメージが存在します。そのため、謝罪することは自分の価値が崩壊することを意味するように感じられ、自分を守るために強く抵抗します。(出典:あしたのクリニック)
また、世代間伝達、いわゆる「トラウマの連鎖」も影響している場合があります。これは、母親自身がその親から謝ってもらった経験がなく、「謝る文化」のない家庭で育った可能性を示すものです。特に、幼少期に常に自己防衛が必要な厳しい環境で育った場合、他者の視点や感情を考慮する余裕がなく、謝罪を学ぶ機会がなかったとも言えます。
さらに、心理学における「防衛機制」が働いていることも考えられます。謝罪を「権威の放棄」や「敗北」と捉えてしまうと、親としての立場を守るために無意識に非を認めることを避けてしまいます。
自分は正しいと信じている親の心理

「自分は常に正しい」と信じている親の心理は、多くの場合、自分を守るための鎧(よろい)のようなものです。
背景には、根強い劣等感や不安感が隠れていることがあります。自分に自信がないため、「親として常に正しくなければならない」「立派な親でなければ価値がない」という強迫観念に近い思い込みを抱えているのです。
この思い込みが強いと、自分の間違いを認めることは、親としての権威や存在価値そのものを失うことのように感じられます。そのため、事実を曲げてでも自分の正しさを主張しようとします。
また、一部の親は、子どもを養育しているという事実をもって、自分は道徳的にも優位であると無意識に考えてしまうことがあります。
「子どもより大人が正しい」「子どもは親の言うことを聞くもの」といった階層的な認識が強いほど、子どもに対して謝罪することは自分の立場を脅かす行為と受け取られ、抵抗が生まれます。
すぐ人のせいにする母親の言動パターン
自分の非を認めない母親には、いくつかの典型的な言動パターンが見られることがあります。
最も分かりやすいのは、記憶の操作や事実の歪曲です。例えば、過去の言動を指摘されても「私はそんなこと言っていない」と記憶自体を消去したり、「私はそんなことしていない」と記憶を書き換えたりします。
証拠を提示されても嘘を重ねたり、全く別の話を持ち出して論点をすり替えたりすることも少なくありません。
また、責任転嫁のパターンも多く見られます。自分の行動が原因で問題が起きても、「全部あなたのためを思ってやったこと」と主張し、自分の自己満足を「相手のため」と言い換えることがあります。あるいは、約束を破ったことを指摘されても「あなたの捉え方が悪い」「そんな大事なことだと思わなかった」などと、問題の重要性を軽視したり、相手の受け取り方のせいにしたりします。
最終的に「はいはい、じゃあ私が悪いのね」と開き直ったり、逆ギレしたりして、本質的な謝罪を回避するのも特徴です。
母親の激しい怒りの裏にある本当の理由
自分の非を指摘されたときに母親が示す激しい怒りは、多くの場合、恐怖や不安の裏返しです。
前述の通り、自己愛が強い人ほど、内面には脆(もろ)く傷つきやすい自己評価を抱えていることがあります。非を指摘されることは、その脆い部分を突かれることであり、自己価値が崩壊するような強い恐怖を感じさせます。
この恐怖から自分を守るための防衛反応として、「怒り」が真っ先に現れるのです。相手を威嚇し、攻撃することで、自分の中核にある劣等感や無価値感から目をそらそうとします。
また、幼少期に自己防衛を最優先しなければならなかった人は、「0か100か」「敵か味方か」という極端な思考パターンを持ちやすいとされます。
この場合、自分の非を指摘する相手は「敵」と見なされます。そのため、冷静な話し合いではなく、相手を打ち負かすための攻撃的な反応(怒り)が引き起こされるのです。
自分が悪いという自覚がないケースとは
非を認めない母親の中には、そもそも「自分が悪い」という自覚自体が欠如しているケースも存在します。
これは、他人の感情やニーズを理解する「共感性」が著しく欠けている場合に起こり得ます。自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の診断基準の一つにも「共感性の欠如」が含まれており、自分の行動が他者にどのような影響を与えているかを想像することが本質的に難しい状態です。
自分は特別であるという誇大な感覚が強いため、自分の言動はすべて正当化されるべきだと無意識に信じています。
また、精神的な成熟度が幼い段階で止まっている「幼児性」が関係していることもあります。幼い子どもが自分の欲求を最優先するように、他者の視点に立って物事を考える能力が十分に発達していないのです。
このような場合、母親は悪意を持って嘘をついたりごまかしたりしているというよりも、本心から「自分は何も悪くない」「なぜ相手が怒っているのか分からない」と感じている可能性があります。
自分の非を認めない母親への具体的な対処法

- 親との関係性を見直した先にある結果
- 感情的にならず冷静に対応するコツ
- 専門機関や相談窓口を活用しよう
- 母親との関係に関するよくあるQ&A
- まとめ:自分の非を認めない母親と向き合う
親との関係性を見直した先にある結果
自分の非を認めない母親に対して、「いつか分かってくれるはず」「謝ってほしい」と期待し続けることは、自分自身を苦しめる結果につながりやすいです。
最も重要な対処法の一つは、残念ながら「親は変わらないかもしれない」という現実を受け入れ、親に謝罪を期待することを「あきらめる」ことです。
これは冷たい態度のように聞こえるかもしれませんが、自分の心の平穏を取り戻すためには不可欠なステップです。期待を手放すことで、相手の言動に一喜一憂することが減り、精神的なダメージを最小限に抑えられます。
その上で、親との間に「境界線」を引き、物理的・感情的な距離を取ることが有効です。可能であれば別居する、会う頻度や連絡する時間を制限するなど、自分が消耗しない関係性を築き直します。
このような関係性の見直しは、自分自身の人生に焦点を当てることにもつながります。親の言動に振り回されるのではなく、自分がどうしたいか、どうありたいかを優先できるようになります。
感情的にならず冷静に対応するコツ
母親と直接対話しなければならない場面では、感情的にならず冷静に対応することが鍵となります。相手の怒りや責任転嫁に引きずられて感情的になると、相手の防衛反応をさらに強めてしまい、話し合いになりません。
具体的な会話のコツとして、以下の点が挙げられます。
境界線を明確にする
相手の理不尽な要求や主張に対しては、毅然(きぜん)とした態度で対応します。「それはできない」「その考えには同意できない」と、自分の意見や限界をはっきりと伝えることが大切です。ただし、相手を非難するのではなく、あくまで「自分はこう思う」というI(アイ)メッセージを主軸に据えることが望ましいです。
第三者を交える
可能であれば、一対一での対立を避け、他の家族や親族、あるいは専門家など、第三者を交えて話すことも有効です。客観的な視点が入ることで、母親も冷静さを取り戻す場合があります。
求める成果を具体的に伝える
「なぜ謝ってくれないのか」と感情をぶつけるのではなく、「今後はこうしてほしい」と具体的な行動レベルでの要求を明確に伝えます。例えば、「約束を破った場合は、その場で事実を認めてほしい」など、具体的な要望を伝える方が、相手も受け入れやすくなる可能性があります。
専門機関や相談窓口を活用しよう

母親との関係に一人で悩み続けることは、心身ともに大きな負担となります。状況が深刻である場合や、自分だけではどうにもならないと感じる場合は、専門機関や公的な相談窓口を活用することを強く推奨します。
これらの窓口は、親子関係の悩みや、それに伴う精神的な不調、あるいはモラハラや虐待の可能性について、匿名で相談できる場所です。専門家が客観的な視点で状況を整理し、適切な対処法や必要な支援につなげてくれます。
主な公的相談窓口
以下は、国や自治体が運営する主な相談窓口です。秘密は厳守され、多くは無料で相談が可能です。
| 相談窓口名 | 電話番号・URL | 特徴 |
|---|---|---|
| こども家庭庁「親子のための相談LINE」 | 「親子のための相談LINE」について|こども家庭庁 | LINEで匿名相談が可能(18歳未満の子と保護者が対象) |
| よりそいホットライン | 0120-279-338 よりそいホットライン | 一般社団法人 社会的包摂サポートセンター | 24時間365日対応。どんな悩みにも寄り添う |
| いのちの電話 | 0120-783-556 一般社団法人日本いのちの電話連盟 | あなたがつらいとき、近くにいます。 | フリーダイヤル。時間帯は要確認 |
| 児童相談所虐待対応ダイヤル | 189(いちはやく) 電話相談窓口|困った時の相談方法・窓口|まもろうよ こころ|厚生労働省 | 24時間365日対応。虐待が疑われる場合に通告・相談できる |
| DV相談ナビ | #8008(はれれば) DV相談について | 内閣府男女共同参画局 | 最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながる。モラハラも相談対象(出典:内閣府) |
| 精神保健福祉センター | 各都道府県・政令指定都市に設置 全国の精神保健福祉センター|厚生労働省 | こころの健康や精神疾患に関する専門相談機関 |
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自分の非を認めない母親との関係では、将来の生活面(介護や相続など)に関わる法的な疑問が生じることもあります。
非を認めない親の介護を拒否できますか?
法律上、親子間には「扶養義務」がありますが、これは絶対的なものではありません。過去に虐待やそれに準ずる精神的な苦痛(モラハラなど)を受けていた場合、その程度によっては扶養義務が免除されたり、軽減されたりする可能性があります。
自分だけで判断せず、まずは弁護士や家庭裁判所に相談することが重要です。
親が生活保護を申請すると、私に連絡が来ますか?
通常、生活保護を申請すると、役所から親族(子どもなど)に対して「扶養照会」が行われます。しかし、申請者(親)から「子どもからDVや虐待を受けていた」という申し出があった場合と同様に、子ども側から「親から虐待を受けていた」という事実を役所に説明すれば、照会が行われないケースがあります。
親との縁を法的に切ることはできますか?
日本の法律では、親子関係を法的に「絶縁」する制度は存在しません。戸籍上の親子関係を解消することは、養子縁組の解消などを除いて非常に困難です。
しかし、前述のように扶養義務の免除を求めたり、DVやストーカー行為があれば接近禁止命令を申し立てたりすることで、法的に距離を置くことは可能です。
介護や同居で苦労した場合、相続で考慮されますか?
親の財産の維持や増加に特別な貢献(無償での長期間の介護など)をした場合、相続時に「寄与分」として、他の相続人より多く財産を受け取れる可能性があります。ただし、これを主張するには他の相続人の同意が必要であり、難しい場合は家庭裁判所での調停や審判が必要になります。(出典:福田法律事務所)
法的な問題は複雑なため、必ず弁護士などの専門家にご相談ください。
まとめ:自分の非を認めない母親と向き合う
自分の非を認めない母親との関係に悩むとき、重要なポイントを以下にまとめます。
- 母親が非を認めない背景には、自己愛や防衛機制、世代間伝達がある
- 謝罪を「権威の失墜」や「自己価値の崩壊」と捉えている可能性がある
- 言動パターンとして、記憶の操作、責任転嫁、論点のすり替えが見られる
- 非を指摘されたときの激しい怒りは、内面の恐怖や不安の裏返しである
- 共感性の欠如から、自分が悪いという自覚自体がないケースもある
- 母親に「謝ってもらうこと」への期待を手放すことが第一歩
- 感情的に対立せず、冷静に境界線を引くことが大切
- 物理的な距離と感情的な距離を意識的に取る
- 要求は感情的でなく、「こうしてほしい」と具体的に伝える
- 一対一を避け、第三者を交えて話すことも有効な手段
- 自分自身を責めないことが何よりも重要
- 悩みやストレスは一人で抱え込まず、専門機関に相談する
- 公的な相談窓口(よりそいホットライン、親子のための相談LINEなど)は匿名で利用できる
- 介護や相続など法的な問題は、弁護士に相談する
- 自分の心の平穏と、これからの人生を最優先に考える
